- 2人~4人
- 50分~80分
- 10歳~
- 2016年~
炭鉱讃歌:カードゲームdrillさんのレビュー
【まえがき】
2016年のSpiel'16でeggertspiele社&Pegasus Spiele社から発売されたカードゲームです。その後、国内メーカーが日本語版として発売し、現在は日本語版が国内流通しています。
デザイナーはこのゲームの元となった「炭鉱讃歌」と同じ方で、ミヒャエル・キースリング&ヴォルフガング・クラマーの黄金コンビです。
ゲーム内容は、炭鉱から石炭を掘り出し、輸送用の貨物列車に載せ、そして輸出することで点数の獲得を目指します。しかし、石炭や貨物車、機関車の獲得、そして採掘や輸出などのアクションは、すべてプレイヤーが持っているワーカー(労働者)カードによる選択となっており、如何に効率よく今必要なアクションを選ぶかがゲームの核となっています。
【ルールの簡単な説明】
※わざと簡易的な説明に留めております。
このゲームのコンポーネントはほぼカードが占めており、それ以外にはプレイヤーボードがあるのみです。
カードは、石炭を載せたトロッコを表すカード(トロッコカード)、石炭を載せる貨物車(貨物車カード)、その貨物車を牽引する機関車(機関車カード)、石炭を輸出する目的地を表すカード(注文カード)、輸出した先(工場や蒸気船など)の株券(株券カード)、ゲーム終了時にボーナス点を得られるボーナスカード、石炭の採掘や輸出などのアクションを表すカード(アクションカード)、そして様々な特典を得られる技術を表すカード(技術カード)があります。
アクションカード以外は、カードの種類ごとにすべて混ぜて山札として表が見えるように場に並べます。アクションカードは1枚ずつ見えるように並べます。
プレイヤーは選んだ色のプレイヤーボードとワーカーカードを受け取ります。
スタートプレイヤーから時計回りの順番で、各プレイヤーは自分のワーカーカード1枚をどこかの山札もしくはアクションカードに対して置き、その置いたところのアクションを行います。もし手持ちのカードを置けない、または手持ちのワーカーカードがなくなった場合、そのプレイヤーはこのラウンドを抜けます。すべてのプレイヤーがラウンドから抜けるまで、手番を繰り返します。
ワーカーカードを置く場所によりアクションは異なり、トロッコカード、貨物車カード、機関車カード、注文カード、株券カード、ボーナスカード、技術カードの山に対して置いた場合は、その山の一番上からカード1枚を獲得します。カードを得るための条件や枚数の制限はありません。獲得したカードはそれぞれ、プレイヤーの場の該当する場所に置きます。
アクションカードに置いた場合は、そのアクションカードのアクションを行います。
1つ目は石炭の採掘で、このアクションを行うことでトロッコを貨物車に積載します。ただし、トロッコがない場合や貨物車がない場合はこのアクションは行えません。
2つ目は輸出で、注文カードとその注文を達成するために必要な石炭数、その石炭を積載した貨物車、その貨物車を牽引する機関車すべてが揃っていれば、アクションを行うことができます。このアクションにより、注文を達成してその注文カードの点数を獲得することができます。
これを規定ラウンド数繰り返して、最も点数が多いプレイヤーが勝利者となります。
【感想】
このゲームは2013年に同社から発売された「炭鉱讃歌」を元に、同デザイナーがカードゲーム化したゲームです。カードゲームですので大きさはコンパクトに、そして価格も低価格に抑えられています。
ただし、元となった「炭鉱讃歌」とは内容が大きく異なる(私自身は炭鉱讃歌は未プレイですのであくまで聞いた話です)ため、単純にカード化しただけではありません。
ゲーム自体は、トロッコを獲得->貨物車を獲得->採掘アクションで石炭を貨物車に積載->機関車を獲得->注文カードを獲得->輸出アクションで列車を発車という流れになると思います。この輸出した列車が点数となるため(ゲーム終了時に輸出されていない列車はすべて無効)、如何に無駄のない列車を構成して輸出するかというところが一番考えるべき点でしょう。
さらに達成した注文カードに対応する株券カード(注文カードに対して1対1で紐づけ、紐づけられた株券のみが点数となる)や、ゲーム終了時の点数となるボーナスカードがあるので、これらのカードもうまく獲得しなければなりません。
しかし、これらかのカードの獲得やアクションはすべて手持ちのワーカーカードで行います。ワーカーカードの枚数には限りがあり、またカード1枚がワーカー1人というわけではなく、カード1枚で1人、2人、3人、4人、5人と分かれています。さらに置こうとしている山札またはアクションに対して、前の人が置いたカードのワーカー数より多いワーカー数のカードを置かなければならないという制限があるため、手札のワーカーカードをどのようにうまく使うのか、ここがゲームの肝であると言えます。
まだ1回しかプレイしてませんが非常によくまとまっていて、満足感も高いと思います。またルールも一度遊べば理解して覚えられる内容となっています。ボーナスカードはアイコン化されていますが種類も多くないため、覚えやすいです。
欠点としては、カードゲームにしてはプレイ時間がかかりすぎるという点です。プレイ時間の目安に書かれているとおり、4人プレイであれば90分程度かかると思っていた方がいいです。手番では、手持ちのワーカーカードを置いてアクションを行うだけなのですが手番を行う前に長考を誘発するため、1回の手番がかなり重く感じます。そのため、これだけ時間がかかるのであればボードゲーム版の方がいいのではなかろうか?という疑問も沸いてきます。ここはもう少し、簡素化してプレイ時間を短縮することができなかったのかなと残念に思います。
ただ現在「炭鉱讃歌」は入手が非常に難しいため、このゲームを代わりに買うという選択肢はあると思います(内容は大きく異なるそうなので代替にはなりませんが)。
もう1つの欠点はカードを置く場所が結構とられるため、大きめの机が必要です。カードを重ねるなどして場所を確保するしかありません(大きな欠点ではないですが)。
個人的な評価としてはよくできている、良いゲームだと思います。少し濃厚なゲームで遊びたいという人には、1つの選択肢となるのではないでしようか?
【その他】
コンポーネントに言語依存はありません。カードサイズは87mm x 56mm、枚数は239枚です。
- 62興味あり
- 83経験あり
- 13お気に入り
- 113持ってる
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