システムとしてインサイダーゲームを下敷きとして考えられたと思われ、基本的なシステムは類似している(実際どうなのかは不明であるが)。
学術論文の世界では、互いに平行した時期の同じような内容の研究であれば、先に結果を出して論文として発表したものが先駆者として認められる。もちろん学会毎による格というものもあり、認知度には差が出てくるものではあるが。
ボードゲームにおいては、ルール、コンポーネント共に明らかに類似していれば模倣と見做されるが、そうでない場合は先に出たものより成功したものが勝ち、という風潮がある。出版元やデザイナーの規模や実績に格差があれば、なおさらこの傾向は顕著になるだろう。
ワーワーズは、ワードコミニュケーションに、人狼のルールが加味されている。それもそのはずで、デザイナーのTed Alspach氏はCastles of Mad King Ludwig(BGG130位)、Suburbia(BGG148位) などの有名作の他、Ultimate Werewolf シリーズも手がけている人物である。
ワーワーズでは、各プレイヤーに予見者(シアー)、人狼(ウルフ)、村民(ヴィレジャー)、それに村長(メイヤー) が割り振られる。
インサイダーで言うところのマスターは、村長(メイヤー)となるが、この村長も上記の3役のいずれかが割り振られるところが面白い。
ゲームは村長が選んだお題を話し合いにて推測していく。村長は基本的にイエスかノーで答える。お題は、ゲーム開始前に村長の他、予見者と人狼に知らされている。
もし制限内にお題を当てられたら、基本的に村人陣営の勝利となる。ただしこの時人狼には予見者を予想する機会が与えられ、これに成功したら人狼の勝ちである。
お題を当てられなかった時は、全員で話し合い人狼を吊るし上げる。人狼を発見できれば村人の、できなければ人狼の勝利だ。ちなみに、村長が予見者あるいは人狼である可能性もある。
細かいルールはもう少しあるが割愛する。
なお、ワーワーズには専用のアプリが用意されており、これによりゲームをスムーズに進行させることができる。コンポーネントにはお題カードは含まれておらす、アプリ内でお題を選択することになっている。ただお題さえ用意出来れば、アプリはなくてもプレイ可能である。
その後発売されたデラックス版ではさらに役職が追加されている。ただし、ゲームの性質上あまり多人数では無理があるだろう。
プレイ感としては、テーマを持った人狼というテイストであり、人狼のオープンさが苦手な人でも楽しめる内容といえる。ワード系としても、人狼系としてみても、ある程度の制限がかかった中でのプレイであるため、拡がりには欠けるものの程よく収束するところが最大の特徴だろう。その意味では、両者のいいとこ取りをした作品であるということもできる。
もともと外国では1998年に20questionsという、20の質問からお題を当てるというゲームが存在しており、ワーワーズはこの20questionsとワンナイト人狼を組み合わせたものとして認知されている。冒頭で述べたとおり、ワーワーズのシステムの根幹はインサイダーゲームと類似しているが、完成度はそれを凌駕していることは間違いないというのが個人的な感想だ。その意味では海外のパブリッシャー、デザイナーの力量を見せつけられたとも言える。とはいえ、インサイダーゲームのより軽いプレイ感もまた魅力の1つであり、興味があれば両者を比較してみるのも良いだろう。
ワーワーズは日本版はでておらず(苦笑)、日本語でプレイするにはお題をどのように用意するか工夫する必要がある。アプリには自分でお題を登録する機能がついているので、これに日本語の題を登録するのも良し、他のゲームのお題(単語)カードをそのまま使用することもできる。
機会があれば是非プレイしていただきたい優れたパーティゲームである。
評価8/10 重さ2/10 リプレイ性6/10
- 投稿者:maro
- 17興味あり
- 114経験あり
- 14お気に入り
- 40持ってる
主要登場人物/職業や生物 | |
---|---|
その他のコンセプト |
プレイヤーの干渉/影響アクション | |
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情報の扱い方等 | |
その他のメカニクスや仕組み |
ゲームデザイン | |
---|---|
アートワーク | |
関連企業/団体 |
運・確率 | 1 | |
---|---|---|
戦略・判断力 | 0 | |
交渉・立ち回り | 0 | |
心理戦・ブラフ | 3 | |
攻防・戦闘 | 0 | |
アート・外見 | 0 |
レビュー 1件
リプレイ 0件
戦略やコツ 0件
ルール/インスト 0件
掲示板 0件
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